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deux versions de "Coppelia" - 二つの版の「コッペリア」

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(左からジョゼ・マルティネス(コッペリウス)、ドロテ・ジルベール(コッペリア)、マティアス・エイマン(フランツ)
:写真はFrance3サイトより)

オペラ座で上演される「コッペリア」には2つのバージョンがあります。
一つはカンパニーのパトリス・バール版、
もう一つはバレエ学校のピエール・ラコット版(これはDVDが出ています。その後スピード出世でエトワールとなった学校時代の若きマチュー・ガニオと、可愛らしいシャルリーン・ジゼンダネが主役、学校公演とはいえさすがオペラ座バレエ学校、立派なレベルです。)
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2011年はガルニエで両方のバージョンが上演されました。
France3で放映されたその舞台裏をルポした番組が、
コチラで見ることができます(1週間程度だということなのでお早めに!)。
30分ほどの番組ながらカンパニーのリハの様子から学校の様子まで、ダンサー、ディレクター、そして学校の校長であるプラテル様のインタビューまであって、かなり見応えがあります。

パトリス・バール版の特徴は、何といってもコッペリウスの描き方にあるでしょう。
通常他の版だと、変人で発明家のおじいさん、という設定で、
引退したダンサーがゲストで踊ることの多い老け役のコッペリウス。
少女コッペリアと老人コッペリウスの交流、コッペリアとフランツの恋。
言ってみればそれだけの話。

バール版では、コッペリウスの精神的な複雑さや異常さに焦点をあてた演出で、
老け役とはいえ通常エトワールによって踊られ、なかなかセクシーな役どころとなっており、
青年フランツに恋しながらもコッペリアはコッペリウスのミステリアスな魅力に興味を示す、
という作りになっています。
これが、子供向けである「コッペリア」という作品を大人の鑑賞に耐えうる魅力的なものにしています。
私は記憶が確かであれば、ジョゼ・マルティネスとバンジャマン・ペッシュにより踊られたのを見たことがありますが、2人とも非常にダンディで女性の観客を魅惑するコッペリウスでした。

オペラ座は、このように、子供向けの(言ってしまえばつまらない)作品を、大人の鑑賞に耐えうる芸術作品に仕上げるのがうまい。代表的なものが、ヌレエフ版の「くるみ割り人形」ではないでしょうか。
「寝ててもいいような作品だがチャイコフスキーの音楽はやはり素晴らしい」というようなことを以前鈴木晶先生が書いていらした気がしますが、ほんとにまぁチャイコフスキーの素晴らしさだけというような子供向けのあの作品。
これがヌレエフ版では、子供が見たらちょっと怖いのでは?と思うような演出(夢の中で大きな顔たちが出てくる、など)や、クララが少女から女性へと目覚める過程を強く描くなど他の演出よりRが少し高めな感じにしてみたり、といった独自の演出によって、非常に我々大人の目にも魅力的な作品に仕上がっています。


さて、そのパトリス・バール版の「コッペリア」、
「ワールドクラシック@シネマ」という企画により、映画館で楽しむことができます!
(他にもボリショイの「クラス・コンサート+ジゼル」などがこれから上映予定。)
このように世界中のいい舞台(オペラ・バレエ)を見られる企画が今後も続きますように。
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by chihiroparis | 2011-06-21 01:54 | ballet+danse | Comments(0)
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