<< 「Crazy Horse」 b... Le verre volé >>

2011-2012シーズン総括3 シュツットガルトバレエ団日本公演、有馬バレエ「ドン・キホーテ」

・シュツットガルトバレエ団、じゃじゃ馬馴らし(ジョン・クランコ)
 (クランコ版白鳥はあとで追記します)
 
 シュツットガルトバレエでじゃじゃ馬馴らし。
 シェークスピアの原作は児童用に簡略化されたようなのしか読んだことがなく、作品を語れるほどの教養があるわけではないが、 現代においてこの作品をやる意味がよくわからないな、と思いながら見始めた。というのも、あんなじゃじゃ馬娘はいくらなんでも現代で見るには違和感があり、共感することもできないし・・・というわけで、物語に入って行き難かったわけで。
それでもまぁ、男性に反抗心と照れとがある女性は現代にもいるしデフォルメしてあると思って見ればいいかな、と思いながら見た。 
 
 前評判では、とにかく楽しかった!!との感想がおおかったのでコメディかー、と思ってたんだけど、なんともエロティックな作品で、ドキドキしてしまった。とりわけ一幕中盤過ぎ見せ場のキャタリーナとペトルーチオの長いPDD。あれはペトルーチオ役のジェイソン・レイリーがセクシーダイナマイトだからではない、クランコは明らかにここをかなりエロティックな場面と意識して振付けたと思う。男性の征服欲と同時に愛情とを表現しようと。絶対男性優位だった時代に従順にさせることと現代においてあのように征服するのとはまた意味も違ってくるわけで、余計にその点が強調されて見えたのかもしれない。
 
 終盤のキャタリーナが夫に従順になるPDDは、ぶつかり合っただけに心が通じたあたりが非常に感動的で、コメディなはずなのに私はいつの間にか泣いてた。なんだかもう心臓がバクバクしてしまって。完全にレイリーのフェロモンにやられてしまったようで。あんなセクシー・ダイナマイトダンサー久々。

 全般的に危うい感じのするバレエだった。子供が見ても大丈夫だろうし、一見普通のコメディなのだろうが、私には危険な香りが漂う非常に大人のバレエに感じられた。
 
 クランコの描く危ういこの男女関係がとても好きである。マクミランなどの清々しい愛とはまた全然違う。ロミオとジュリエットを抜粋ではあるがガラで見た時には、クランコって男女関係描くの下手ね・・・としか思わなかったのだけど。
 
 シュツットガルトバレエは非常にストーリー性の高いバレエを踊りこんでいる様子で、たまに見てはいけなかったかのような太いダンサー(男性)がいたりするし技術的にはそこまで高いバレエ団ではないと思うのだけど、非常にコールドが良い。隅々までダンサー全員の演技がすばらしく、舞台が生き生きとしている。(ロシアなど)古典クラシックばかりの古いレパートリーしか踊っていないところは、技術的にはもっと高いのだろうがこうはいかないだろう。演劇性の高いバレエをレパートリーに持っているバレエ団の力とはこういうものか、と思いながら物語にどっぷり身を浸からせることができた。
 
 というわけで大満足。客層も、おそらくいつものバレエファンというよりも、オペラなんかを良くこの劇場で見ていそうな老夫婦がシェークスピアだから来てみました、というような感じが多かった。こういうのこそ子供を連れて見にきたらいいと思うのだけど日本は演目でかなり偏りがありますね。


・有馬バレエ団、ドン・キホーテ(オペラ座カール・パケット&エロイーズ・ブルドン主演)
 ドロテの怪我で新進スジェ、エロイーズが代役で来日。知名度がまったく違うために随分文句も出ていたようだが、私にとってはなんとラッキー☆という感じで。ドロテのキトリはもう何度も見ているし、エロイーズが初めて主役、しかもキトリを踊るのを見られるわけだから。
 
 AROP賞も受賞、今もっとも勢いのあるスジェ、エロイーズだが、王道出世コースらしくパ・ド・トロワやヴァリアシオン担当として見ることが多いので、なかなか個性がつかめないでいた。技術は申し分ないが、主役を踊るとどうなんだろう、と。直前のGWにL'histoire de Manonで見た娼婦役でコケティッシュな魅力を振りまいていたのがとても新鮮だったので、大きな期待を持って出かけた。
 
 そして、期待以上の彼女の魅力に大満足。主役を与えるとこんなに生き生きとして演技力があって、舞台を引っ張るだけの魅力があるとは。そして話題の技術力。3幕PDDでのバランスには息を飲んだ。間違いなくエトワールになる人材、と言われているだけある。
 
 全体としては残念な舞台だった。なぜか。技術的な差が大きかったが、このことは実はあまり問題ではない。問題は、主役二人に遠慮していて、群舞がまるで傍観者のようだったことである。これは、日本のバレエ教育に演技という面が欠けているからだろうし、オペラ座から来た輝かしい主役を目の前に群舞も思わず見とれてしまったからかもしれない。なんというか、舞台が生きていないというか、主役と群舞とでまったく別の世界を見ているようだった。エトワールだろうが遠慮せずにもっと絡んでいかなくては。それを必死で引っ張ろうといつも以上にパケットが奮闘していたのが印象的。
 
[PR]
by chihiroparis | 2012-09-22 12:59 | ballet+danse | Comments(0)
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
<< 「Crazy Horse」 b... Le verre volé >>