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Le noir (te) vous va si bien 黒はあなたによく似合う

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フランスに戻ると、日本には興行的な理由であまり入って来なさそうなものを見ることにしている。大抵は社会問題を扱った暗いもの。

そういう映画何かないかな、とアンテナを張りながら歩いていたところ、Censier近くのシネマに黒ずくめ(一目でイスラムの女性とわかるもの)のポスターが貼り出されていたのがこれ。すぐに友人を誘って、Vavin近く、硬派な映画をよく上映しているテアトルも併設しているシネマへ向かった。

話は暗い。ひたすらに暗い。

以下はネタバレ。

場所はフランス。北アフリカ系移民一家。厳格なイスラムの規律に基づいて息子と娘を育てた夫婦。
シューズメーカーで働く娘は、家を出る時には敬虔なイスラム教徒らしい黒ずくめのスカーフ姿で出かける。しかし、彼女は毎日とあるカフェ・バーに寄り、そこのトイレで”普通の”格好に着替えて出社しているのであった。

このカフェ・バーの青年と彼女は恋に落ちる。ある日隣人は彼女をここで目撃し、迷いながらも彼女の父親に伝える。父はこっそりとのぞきに来る。彼女は青年とカウンターに立ち、赤いタンクトップ姿で接客していた。

悩んだ父は息子に会いに行き、心情を吐露する。
「私は間違っていたのだろうか。私は、私が受けて来たような教育を君たちに施したつもりだ。」

息子(彼女の兄)は妹の首を絞めて殺害する。
嫌な予感がした父親がかけつけた時には手遅れだった。悲嘆にくれる父。息子の将来を思い、その場を去れと言う。自分が罪をかぶり、投獄されるのであった。

・・・・・・・・・・・

見終わったあと何とも言えず胸が苦しくなった。
あのような家庭に育ち、あのような格好を毎日させられていた女性が、シューズメーカー(の企画室のようなシャレたところ)に勤める(ことができる)?と一緒に見ていた友人が指摘する。

どうだろう。

細かい設定において多少の矛盾や、さすがに誇張しているのでは、と思える部分もあるが、移民家庭における親と子の間の文化摩擦、葛藤というのが大きな問題であることは確かであり、そのことを誇張しながらも描いている作品だったと思う。

・・・・多分日本では公開されないでしょう・・・興行的に無理だと判断されて。
中東問題、移民問題、etc...フランスでは実に様々な問題を扱った映画が見られるのがいい。
by chihiroparis | 2013-02-05 20:24 | cinema

主にバレエ評


by chihiroparis