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Carolyne Carlson "Pneuma" Ballet de l'Opéra National de Bordeaux

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Carolyne Carlson "Pneuma" Ballet de l'Opéra National de Bordeaux, Théâtre de Chaillot
国立ボルドーバレエパリ公演でカロリン・カールソン「Pneuma」。場所はカールソンカンパニーがこの2年間レジデンスとして活動しているシャイヨ劇場。(レジデンスになるということでカンパニーができたそうだ)
Nouvelle danse francaiseの旗手であるCarlsonは、シーンを絵画のように作るのが作風(オペラ座が日本公演も行ったので有名な作品「Signes」など)。今回の作品はGaston Bachelardの詩(L'air et les songes)を題材にした「詩の視覚化」だということだ。
舞踊言語の追求と言うよりも絵画のような舞台だということだけれども、それだけに言語は非常につまらない。ボルドーバレエという、普段もっぱらクラシックバレエをレパートリーとしているダンサーたちにより踊られているため、身体が振付を最大限豊かに活かしているとはいい難いのも残念さに拍車をかける。
プログラムにも色々と観念的な説明はしてあるのだが、では肝心な視覚化、全体を絵画とした時に受ける印象だけれども、どこか私には90年代バブル風に感じられた。一言で言うと、「ダサい」。空想の世界を表現しているという舞台のその「絵画」観としては、これも90年代によく来日展が開かれたルネ・マグリットに近い。(別にかといってマグリットを批判するわけではない。)途中何度か出てくる重要な登場人物の衣装がとにかくどこかバブル期的で安っぽいデフィレを見ているかのようだ。Bachelardの哲学を私は知らないし、理解していないだけと言われればそれまでだが、志は色々あるみたいなのだけれどもこれでは本屋さんの棚が「哲学」から「倫理」を経てなぜか「スピリチュアル」も隣人化している並びのような感じで(←某巨大書店での実話)、似て非なるものというか。
Nouvelle danse francaiseも結構面白い人も出していて好きな振付家もいるし、こう言う傾向の舞踊が流行ったこともよくわかるのだが、2014年の創作だというこの作品、時が止まったままのようなものだった。Carlson、もう70過ぎだということだ。しかしチケットは完売、カーテンコールの会場の反応は熱かった。フランスじんってこういうの好きなのね。
by chihiroparis | 2016-02-20 00:59 | ballet+danse

主にバレエ評


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