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Mass b de Béatrice Massin @théâtre national de Chaillot

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シャイヨ劇場でBéatrice Massin による Mass b。
フランスバレエの祖、ルイ14世を描いた映画「王は踊る(Le roi danse)」の振付も担当したバロックダンスの研究家であり振付家の第一人者、Massinは、近年、コンテンポラリーダンスとバロックダンスの接点を探すべく精力的に活動しているとのこと。今回の作品は、各々違った種類の舞踊教育を受けてきた若手ダンサーたちに、バロックダンス及び音楽から受ける印象についてディスカッションをしながら創作を行ったとのことだ。10人の明らかに受けてきた教育が違うとわかる体つきのダンサーたちによる舞台。

前半はなんだか意味のわからない動きも多いが、5-5に分かれて群舞のようにして駆け抜けるように動く時が面白い。Pasがワルツだったりフォーメーションがバロックダンスのそれを大きくしたようなものだったりしたものだということがわかる。後半に向けて段々と動きが大きくなり、彼らはほぼ走りっぱなし(!)となるのだが、あくまでバロックのPasなのにバレエや現在のコンテンポラリーダンスのようなダイナミックな規模の動きになっていき、最高の盛り上がりを見せる。この辺りになるとダンサーが興奮を表しているのか奇声を発したりしている(バロックダンスって掛け声とかはあるんですかね)。まさに「(当時より訓練法が進化した)現代の舞踊身体による現代的バロックダンス」で、こうなると(前半眠かったのが嘘のように)とにかく面白い。

バロックダンスの現代的理解というとヌレエフが振付たBach Suiteがある。昔Kader Belarbiで見たことがあるが、今思うとあれは現代的理解というよりそのままバロックダンスの新作として作ったものとして位置付けられるかと思う。

余談だが、バロックダンスについては全く無知だったのだけど、一昨年オリビエ・フーレ先生(CNSMD出身のダンサーでありながらバロック音楽で博士号を取り現在大学教授であるという方である)の講演通訳をしたことがきっかけで大きな興味を持った。その話をバロック音楽には随分凝っている弟に話したところ、いろいろとレクチャーをしてくれたのだが、そこでMassinの名前を聞いていたので、今回、お?あの人だ、とアンテナに引っかかって見に行ったのだった。行ってよかったわ。
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by chihiroparis | 2016-03-16 23:24 | ballet+danse

主にバレエ評


by chihiroparis