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「Tree of codes」Wayne MacGregor

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2月。ガルニエがBoite de nuitに、とはnouvel'obsの評だったか。
心臓がバクバクして大興奮の1h20!! "「人間の体は最も面白いコンピューター。その体とコンピューターとがコラボしたらすごいいいよね」というコンセプトの作品。2015年マンチェスターフェスティバル初演。今回はオペラ座+マクレガーカンパニーダンサー。

舞台は運動解析をするときに体につけるセンサーのような光をつけたダンサーたちが真っ暗な中踊るところから始まる。ここでもうすでに身体も一つのコンピュータのようで工学的なもののように思えてくる。振付はいわば「コンピューターが二足歩行ができるようになりました、アシモ君です」という機械の新たな可能性を探るサイエンスの観点を人間に適用したようなもので、「人体がこんなことできます!」というように人体の可能性を探っているかのよう。特に動きのArticulationの可能性を探っている。こんな風に動きと動き、関節と関節がArticulerできたりするよ人体!という"つなぎの面白さ"や可能性の追求。みたこともない形で滑らかに踊るダンサー。人体の関節の神秘。
"Anatomique"で"Biologique"で"Scientifique"という言葉が浮かぶ。有機体の神秘!しかし"神秘的"と言っても多くの西欧の現代の振付家の作品に必ず香る神の存在(に対する人間の存在)は全くなくてとてもプラグマティックな感じがするのが面白い。サイエンティストに絶対見て欲しい作品!

久しぶりに大活躍のジローとベランガールが神がかっている。ジローの脚はかつて「どんな振付家も彼女と一度仕事したいと思っている」と誰かが言っているのを読んだことがあるけれど、その圧倒的存在感は健在。彼女が脚を上げるだけでそこにすでに人体の新たな可能性が感じられる。ベランガールは作品の真髄のArticulationが抜きん出ている。彼の優れた音楽性も相まってその滑らかかつ動きは有機体の神秘を感じさせる。コンピューターシミュレーションの未来系のような、とでも言ったらいいのだろうか。
マクレガーカンパニーのダンサーに至ってはさらに上を行っていてもはやこのひとたちが人体には見えない・・・。ものすごく高度なコンピューターにすら見える。でも冷たい感じがしないのがマクレガーの持ち味。人間の感情は全て排しているけど有機体の暖かさみたいなものが漂っている舞台。
身体の動きの脱日常性とか脱規範とかがideologiqueな話に感じてくるようなカラっとした工学的コンテンポラリー、好きすぎて信者になりそうです。

マクレガーといえばちょうど今月ロイヤルバレエの「ウルフ・ワークス」が映画館上映されていているのが大評判だった。普段なら間違いなく見に行ってるところなのだけどいろいろかなり参ってて行かれず。DVD化を切に願いたいところ。

by chihiroparis | 2017-04-07 14:43 | ballet+danse

主にバレエ評


by chihiroparis