映画では開かれたオペラ座、というのがキーワードなのか、リスネールがチケット代のことで会議で発言している場面とLe concert des petits vilolons(バンリューの子に音楽体験をオペラ座でしてもらう企画)とを交差させている。 子供たちが帰るときにすれ違うお掃除の黒人女性に向けられたカメラが監督の一言か。
そうそう、面白かったのでメモ。オペラの場面で「Ce n'est pas le concert!!」コンサートじゃないんだよ、これはオペラなんだ、と言って演出家と歌手が、どこを向いて歌うかということでもめている場面があるのだけれども(演出家は、お客の方を向きすぎるな、と主張する)、ちょうどこれを見たあとに今年のWorld Ballet Dayの動画見ていたらHouston BalletでのマクミランのMayerlingのリハーサル場面で同じことを演出が言っていて。作品の中を生きろ、マクミラン作品では、観客は確かにそこにいるんだけど、作品の中の一員のようにして舞台を見ているんだ、Hi Mom!みたいな感じで客席に向かってポーズとって踊っちゃだめだ、登場人物間でインタラクションを、というようなことを言っていたのが興味深かった。この点が実に上手いのはロイヤルとシュツットガルトだなぁと思う。オペラ座では外部から来てコンクールが経験の中心だったダンサーで客席の方を向きすぎる人がいるのが非常に気になっていて、演劇の中に生きてないなぁと思う。オレリー・デュポンも似たような文脈で話していたけれども、学校やコールドで何年も経験を積むことはソリストへの道として非常に重要なのだ。コンクールに出ることが育成の中心に置かれている日本のバレエエリートの世界では演劇性は育てられていない。