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CND Campania Nacional de Danza de Espana スペイン国立カンパニー初来日!

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嬉しい話題。
CND(スペイン国立ダンスカンパニー)が秋に初来日!

ディレクターは言わずと知れたジョゼ・マルティネス。
パリ・オペラ座のエトワールを引退後、母国に戻り、ナチョ・ドゥアトの後を継いでディレクターに就任。
オペラ座時代より振付家としても活躍しているマルティネスの作品は、一作目である「Mi favorita」の初演から見ているが、「Soli-ter」などお茶目なユーモアに溢れた作品から、「Delibes Suite」のようなクラシックの言語を彼なりに再構成した作品、また、「Scaramouche」(オペラ座バレエ学校への振付作品)のような華やかなディベルティッスマン、そして本格的幕ものの「天井桟敷の人々」と、年々発展し続けている。

彼の作品は登場人物、ダンサー、そして、彼がダンサーとして出会った全ての作品や振付家への強い愛情とリスペクトを感じさせるものだと私は感じている。しかもそれは決して二番煎じや真似事でなく、彼の理解、経験を通して今度は彼の言語として表されている。ダンサーとして、その身体を通して我々に語りかけていた物語、そしてダンスへの愛情を、今度は自らの振付を通して私たちに伝えようとしているのだ。
そんなダンスへの愛情と知性溢れる彼がディレクションするカンパニーCND。

今回の来日作品だが、彼自身の作品の他、キリアンやフォーサイス等彼のキャリア上非常に重要な振付家の作品が並ぶ。他にもナハリンやガリーリといった注目の振付家の作品が選ばれており、本当に彼ならではの鋭いセンスを感じる。
オペラ座からオーレリア・ベレがプリンシパルとして移籍し、クラシックもコンテンポラリーも踊れるカンパニーとして変身を遂げたCND。これは個人的には今秋もっとも注目の舞台、見逃せない!
 
(チラシPDFへのリンク)
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by chihiroparis | 2014-06-14 03:01 | ballet+danse | Comments(0)

Le palais de Cristal, Daphnis et Chloé

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画像はCulturebox記事より。

ライブビューイングがすっかり定着しましたね。
日本でも、パリ・オペラ座、ロイヤル・バレエ、ボリショイ、等世界各国のバレエ団の舞台を一ヶ月〜数ヶ月遅れで映画館で見られるという素晴らしい企画です。

先日オペラ座の舞台同時中継が欧州の映画館にてありましたが、その時の映像がなんとCultureboxで配信されています。12月5日までの配信だそうです。
9月に日本の映画館でも上映する予定のもの。

一つ目はバランシンが1947年にオペラ座に振付けた「Le palais de cristal (水晶宮)」。その後ラクロワがルビー・ブルー・エメラルド・ダイヤ色のまばゆいばかりの美しい衣装を手がけた華やかな作品です。NYCBの「Symphonie in C」と衣装が違う(こちらはバランシンらしい、女性はシンプルなレオタード、男性はTシャツに黒タイツ)が同じ作品、と紹介されがちですが、振付られた時のカンパニーごとの特色(男女の舞踊手の地位、メソッド、等)により、振付にも実は違いがあります。

二つ目は、次期オペラ座バレエの芸術監督となる、バンジャマン・ミルピエによる新作「Daphnis et Chloé(ダフニスとクロエ)」。数々の芸術家達が絵画で表現し、ラヴェルが曲で表したこの作品、いかにミルピエ氏が自分が今後ディレクションを取るカンパニーのダンサーたちを良く観察したかわかります(決まってからというものの、舞台を見に行くたびに、彼の姿を見かけましたから)。ダフニスのエルヴェ・モロー、クロエのオレリー・デュポンはもちろんですが、海賊のフランソワ・アリュをはじめ、若手の登用にははっとすることでしょう。彼らの個性と、秀でたところを愛情を持ってすくいあげたこの振付に、監督としても期待ができる、という印象を強くもちました。

貴重な舞台です。配信が終わらぬうちにぜひ。

ちなみに、ミルピエ体制ですが、Maître de Ballet associé à la directionであったローラン・イレールが辞職、同ポストにMaître de Balletだったクロチルド・ヴェイエ氏が入り、そしてなんと、オレリー・デュポンが引退後にMaître de Balletに就く、という朗報が!
オレリー・デュポンは、引退後俳優などバレエ以外の道に行くことをインタビューで示唆していたのでこのニュースには驚きですが、オペラ座の至宝と言うべき彼女が後輩の指導に当たるだなんて、ファンとしてはこれほど嬉しいことはありません。伝統的オペラ座のクラシックバレエから、その知性の光るコンテンポラリーでの踊りまで。彼女のキャリアのすべてがカンパニーに継承されていってほしいと思います。
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by chihiroparis | 2014-06-08 23:03 | ballet+danse | Comments(0)

マッツ・エク「カルメン」シルヴィ・ギエム×東京バレエ団、「エチュード」東京バレエ団

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↑画像はLyon BalletのHPよりいただきました。登場人物が何人も葉巻を吸ったり、叫んだり、実にカッコいい作品です。
********

さんざんオペラ座も見ているのですが、どうもオペラ座のこととなると書き残すのに気合いが入るらしくなかなか書けなくていけません。

とりあえず見たばかりのマッツ・エク版「カルメン」シルヴィ・ギエム×東京バレエ団、でも。
カルメン:シルヴィ・ギエム、ホセ:マッシモ・ムッル、M:高木綾、エスカミーリオ:柄本弾、オフィサー:木村和夫
あたりが主要キャスト。

古典におけるジェンダーの役割固定に異議申し立てをするかのような作品(「ジゼル」)や、登場人物の心理の一面を肥大化したような作品(「白鳥の湖」)など、古典の読み替えで鋭い知性を発揮する振付家、マッツ・エク。わたくしがもっとも好きな振付家の一人である。
「カルメン」はこれらの作品に比べると、話への独自の理解という意味ではそこまで個性的ではないのだろうが、舞台構成と振付という意味では非常に彼らしい強烈な作品だろう。登場人物が実際に葉巻を吸ったり、叫びわめいたり、ギラギラした衣装をまとったり、動きがへんてこりんだったり(エスカミーリオの色男ぶりとか)と、エクワールド炸裂である。見たアナタは必ずニヤリとしてしまうことだろう。

とにもかくにもまずは日本でエク作品が上演されたことが喜ばしく、見られただけでも幸せ。しかも、正直あまり期待していなかったのだが、何とも素晴らしい舞台であった。ベジャール作品に果敢に挑戦し続けてきたことなどで積み上げられた東京バレエ団の力がエク作品で花開いたかのようだった。

特筆すべきは高木綾と柄本弾。
一人だけエクの言語を使いこなしていた高木綾の素晴らしいこと。
エク言語の特徴としては、力強く深い2番プリエ、登場人物の意志をその脚だけで表すかのような個性的なデヴェロッペとそれに付随される真っすぐに伸びる腕、などが印象的だが、同時に、肩甲骨から肩にかけてを非常に柔軟性を持って用いながら、合わせて首の出し入れを行う、この動きによって、人物の様々な心情を巧みに表現する、ということがあげられる。
この、肩甲骨から肩にかけての柔軟性を一人だけ習得していてエクの世界をひときわ切れ味鋭く描きだしていたのが高木だった。なんと素晴らしく知性溢れる踊りだったこと。

そして、日本にこんなダンサーがいることがとても嬉しくなった、柄本弾の強烈な存在感。
クラシックでないこういう作品で、このような強い個性を持って役を演じられる人については(これは他のカンパニーの感想でも良く書くことだが)、多少どこかしらの動きの中で基礎の欠如なんかが見られたところでまったく気にならないのである。強烈な個性と物語を作り出せる力を持った人というのはそうそういるものではないからである。

ギエムは、良くも悪くも、ギエムのカルメン、であった。天才というのはそういうものかもしれない。何を踊ってもルグリだったし何を踊ってもギエムなのである。しかし年齢を考えると驚異的な踊りである。個人的には彼女の個性である無機質さというのがあまりカルメンらしくない気がしてならない。何しろ、アナ・ラグーナの大ファンである私なので、もう少し土臭いカルメンが好みなのだ。ラグーナといえば指導に来ていたようで、客席で見かけて実に興奮した。

前回この作品をギエムで見たのが、リヨン・バレエとのコラボレーション@シャトレ座なのであるが、コールドは断然リヨンバレエが厚みがあって良い。東京バレエ団のコールドは、女性が可愛らしすぎた。具体的に言うと、エク言語の使用に躊躇があって、上半身がお上品すぎて使い切れていなかった。

ホセのムッルは色気ムンムン。何度かギエムのお相手として見ているがこんなに良いと思ったことは初めてである。マノンのデ・グリューでは違和感を感じたのは、あれはイタリア男のお色気が過ぎたのか。

それにしてもこのような作品を上演できる力と個性があるカンパニーだということを心から評価したいし、同時にそれは、なぜそれなのにプロとしてお金を取って見せるレベルではない「エチュード」のようなクラシック作品を踊ることにこだわるのか、という批判にもなる。これは悪口ではない。それならばこのカンパニーを見に行かなければよいのだから。エクやベジャール作品で見せる素晴らしい一面を持ちながら、セット上演で出来てもいないことを有料で披露することを、前者を評価するだけに残念に思っているのである。 
いろいろとクラシックにこだわりたい事情があるのは想像できるが、それならばもう少しクラスレッスンをきちんとすべきだと感じた。特にソリストの足先の処理など基礎的訓練が明らかにおろそかにされている他、ベテランがレビューのように顔で踊っていて、さらにそれが若手で登用されている人にも引き継がれているのが気になった。後ろのほうにそれなりの人がいるのにとりわけ登用されている人がひどいというのは、登用が才能ではないものによるものと想像するが、私は内情を知るものではないのでこれは想像にすぎない。
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by chihiroparis | 2013-11-21 22:18 | ballet+danse | Comments(0)

La fille mal gardée (2012-2013英国ロイヤルバレエ映画館中継)

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随分前の鑑賞記録になってしまったけれど、2012-2013英国ロイヤルバレエの映画館中継で
今を輝くスティーブン・マックレー&ロベルタ・マルケスによる「La fille mal gardée」(1960年フレデリック・アシュトンがロイヤルバレエに振付、1960年初演)。

なんてハッピーな鑑賞後。ハッピーすぎて泣きながら見終えるという。二人の弾けんばかりの笑顔と、幸せをステップで表したらこんな感じだよ、というアシュトンのステップと。とりわけ、まるで楽器のようなマックレーの奇跡の脚とそこから生み出される幸福感!
二人とも脚力と、それを持っている人にしか出せない脚の表現力が素晴らしい。
一幕出てすぐのマルケスのエシャッペルルべ、それだけで魅せる!このアンデオール!とはっとした。すごく胴体がしっかりしていて(とりわけ背中)、その強さから生まれる動きー例えばアラスゴンドの脚などはキレがあってとてもよかったーが素晴らしいと思った。
スティーブン・マックレーについては言及するまでもないだろう。場面転換に幕前でコーラスの見せ場の二番ジャンプ、役の若さと恋する青年のウキウキを存分に表現したジャンプ!まるで彼のために作られた作品かと思うほどだった。

以前は正直さっぱりこの作品の良さがわからなかった。何か古くさいバレエだ、くらいに思っていた。オペラ座が上演したのを見て面白さに目覚めたのだが(※ログを見てみたが、これ私記録残してない。。。)、本場ロイヤルのはまた違った。
本場の上演はいい、とはシュツットガルトのじゃじゃ馬ならしを見た時にしみじみ感じたことだが、端役の隅々まで振付家の意図が伝承されていて、何しろ舞台が"生きて"いる。細かい技術的なことはこういう場合どうでもよくなる。こういう舞台を見たときの幸福感たら。

映画館中継シリーズでお得なのは、インタビューや舞台裏が幕間に流れること。アラン役の振付についての話が面白かったのでメモしておきたい。
アランは世間知らずで純粋な青年役だが、独特のリズムで踊る。この動きだが、アシュトンが戦時中振付の仕事をしていたというボードビルから来ているそうだ。
初演の際シモーヌを演じたダンサーはもともとタップダンサーだったという。今回踊ったフィリップ・モスレイは、バレエを始める前幼少時にタップをやっていて、ぜひこの役をやってみたいと思い続けていたそうだ。

***

ロイヤルが伝統的に得意とする演目を考えながら、今さらだがやはりギエムは多少息苦しさを感じていてもオペラ座のほうがその素材が生きたのではないか、などと考えていた。国家的損失などと騒がれたわけだが...ロイヤルにはマルケスやロホ、コジョカルのような持ち味のダンサーに似合う役が多い。

***

この英国ロイヤルバレエの映画館中継、2013-2014シーズンも行われる。ありがたいことですね。
日本のサイトがこちら
ロイヤルのサイト内のこの企画のページはこちら(配役が載っています)
バレエはドン・キホーテ、くるみ割り人形、ジゼル、眠りの森の美女。クラシックの有名なものばかりで、もう少し最近の作品もやってほしいなと正直思いますが、現地に行かずとも見られることに感謝。バレエを初めて見てみようかな、という方には劇場に足を運ぶよりお安くて良いのでは。
オペラはトゥーランドット、ドン・ジョバンニ、冬物語、マノン・レスコー、となっています。
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by chihiroparis | 2013-09-09 17:23 | ballet+danse | Comments(0)

珍しいキノコ舞踊団「動物の○(えん)」

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珍しいキノコ舞踊団で「動物の◯(えん)」@アートエリアB1。
京阪の地下鉄の駅構内という面白いスペースだった。椅子は発砲スチロールを削っただけ。舞台となる場所の手前には展示スペースが。

日芸出身者がメインの珍しいキノコ、バレエの友人の友人だったりして近く感じていたけれど見るのは初めて。強烈な体験だった。

日本のコンテシーンはNoismという欧州の"王道"コンテの場を経た、ある意味では"エリート"である金森穣と、モダンダンスの流れをくむ、乱暴に分類すれば日本独自のもの、とに大きく二分されると思うが、珍しいキノコの伊藤の振付の独自性には驚かされた。

ロビンスがウエスト・サイド・ストーリーを振り付けたようにそこにはポピュラー性のある"わかりやすい"ものもあるが、根底にはおそらく木佐貫邦子あたりでいったん頂点を極めたとも言える日本のモダンダンスの強い影響を感じた。

欧州でばかりコンテをみてきたわたしの目には彼女の創り出す世界が強烈に"ジャパン"だったし"トーキョー"だった。
雑多なものが絡み合うこの感覚。
原宿のストリートファッション、浅草や場末の温泉街でやっているようなストリップ、昭和の香りのする喫茶店、ガチャガチャしたテレビ。

小さくて丸っこい日本人の体型だからこそ表現できる、kawaii もの。
体型に合わないクラシックバレエを目指すことがあほらしく思える日本独自といえる舞台だった。
ただしメンバーにはルードラで教育を受けた人もいて、やはり欧州のメソッドが身体性には影響しているのは明らかだった。
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by chihiroparis | 2013-06-11 23:04 | ballet+danse | Comments(0)

Chouf Ouchouf シュフ ウシュフ

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バレエやコンテンポラリーダンスという枠だけでなく、広く身体表現には興味があります。

Chouf Ouchouf.
スイスで話題の振付ユニット、Zimmermann & de Perrotが、モロッコの北の入り口・Tangerのアクロバティック集団とコラボしたと聞いて出かけた@東京芸術劇場。
ダンスでもないし演劇でもないしアクロバティックだけどサーカスでもない、すごいシュールでとにかく楽しい舞台!!

舞台は、シンプルなボックスいくつかから成っている。
ボックスの何面かは扉のように開閉できるようになっていて、つなげて壁のようにしたり。
ここはああ懐かしいタンジェのメディナだ、とふっとあの世界に連れて行かれるような雰囲気になったり。裏返すとカラフルになってて、あ、マルシェの喧噪ってこんな感じだった、というような。
壁を前後させる動きと踊りとの組み合わせで出ていたえもいわれぬシュール感は特筆すべき。

彼らのアクロバティックの特徴は、ほとんど道具を使わないこと。
これはモロッコでは伝統的なものらしい。
砂漠で遠くを見たりするのに人と人とが組んでこのようなことをしてきたそうだ。
そういえば、マラケシュのフナ広場なんかでは、こんな感じの人と人が組み合ったパフォーマンスをやっていたな。

Zimmermannとde Perrotの演出は、民族性の強い彼らのパフォーマンスをどこかシュールなものにしていて、実在のモロッコともまた違う世界観を構築していた。
あまりこういう舞台を語る言語を持ってないのが残念。
コンテでもない新しい身体表現の可能性を見た感じだった。
とにかく大いに笑い、楽しめた舞台!
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by chihiroparis | 2013-06-11 22:52 | ballet+danse | Comments(0)

2011-2012シーズン総括3 シュツットガルトバレエ団日本公演、有馬バレエ「ドン・キホーテ」

・シュツットガルトバレエ団、じゃじゃ馬馴らし(ジョン・クランコ)
 (クランコ版白鳥はあとで追記します)
 
 シュツットガルトバレエでじゃじゃ馬馴らし。
 シェークスピアの原作は児童用に簡略化されたようなのしか読んだことがなく、作品を語れるほどの教養があるわけではないが、 現代においてこの作品をやる意味がよくわからないな、と思いながら見始めた。というのも、あんなじゃじゃ馬娘はいくらなんでも現代で見るには違和感があり、共感することもできないし・・・というわけで、物語に入って行き難かったわけで。
それでもまぁ、男性に反抗心と照れとがある女性は現代にもいるしデフォルメしてあると思って見ればいいかな、と思いながら見た。 
 
 前評判では、とにかく楽しかった!!との感想がおおかったのでコメディかー、と思ってたんだけど、なんともエロティックな作品で、ドキドキしてしまった。とりわけ一幕中盤過ぎ見せ場のキャタリーナとペトルーチオの長いPDD。あれはペトルーチオ役のジェイソン・レイリーがセクシーダイナマイトだからではない、クランコは明らかにここをかなりエロティックな場面と意識して振付けたと思う。男性の征服欲と同時に愛情とを表現しようと。絶対男性優位だった時代に従順にさせることと現代においてあのように征服するのとはまた意味も違ってくるわけで、余計にその点が強調されて見えたのかもしれない。
 
 終盤のキャタリーナが夫に従順になるPDDは、ぶつかり合っただけに心が通じたあたりが非常に感動的で、コメディなはずなのに私はいつの間にか泣いてた。なんだかもう心臓がバクバクしてしまって。完全にレイリーのフェロモンにやられてしまったようで。あんなセクシー・ダイナマイトダンサー久々。

 全般的に危うい感じのするバレエだった。子供が見ても大丈夫だろうし、一見普通のコメディなのだろうが、私には危険な香りが漂う非常に大人のバレエに感じられた。
 
 クランコの描く危ういこの男女関係がとても好きである。マクミランなどの清々しい愛とはまた全然違う。ロミオとジュリエットを抜粋ではあるがガラで見た時には、クランコって男女関係描くの下手ね・・・としか思わなかったのだけど。
 
 シュツットガルトバレエは非常にストーリー性の高いバレエを踊りこんでいる様子で、たまに見てはいけなかったかのような太いダンサー(男性)がいたりするし技術的にはそこまで高いバレエ団ではないと思うのだけど、非常にコールドが良い。隅々までダンサー全員の演技がすばらしく、舞台が生き生きとしている。(ロシアなど)古典クラシックばかりの古いレパートリーしか踊っていないところは、技術的にはもっと高いのだろうがこうはいかないだろう。演劇性の高いバレエをレパートリーに持っているバレエ団の力とはこういうものか、と思いながら物語にどっぷり身を浸からせることができた。
 
 というわけで大満足。客層も、おそらくいつものバレエファンというよりも、オペラなんかを良くこの劇場で見ていそうな老夫婦がシェークスピアだから来てみました、というような感じが多かった。こういうのこそ子供を連れて見にきたらいいと思うのだけど日本は演目でかなり偏りがありますね。


・有馬バレエ団、ドン・キホーテ(オペラ座カール・パケット&エロイーズ・ブルドン主演)
 ドロテの怪我で新進スジェ、エロイーズが代役で来日。知名度がまったく違うために随分文句も出ていたようだが、私にとってはなんとラッキー☆という感じで。ドロテのキトリはもう何度も見ているし、エロイーズが初めて主役、しかもキトリを踊るのを見られるわけだから。
 
 AROP賞も受賞、今もっとも勢いのあるスジェ、エロイーズだが、王道出世コースらしくパ・ド・トロワやヴァリアシオン担当として見ることが多いので、なかなか個性がつかめないでいた。技術は申し分ないが、主役を踊るとどうなんだろう、と。直前のGWにL'histoire de Manonで見た娼婦役でコケティッシュな魅力を振りまいていたのがとても新鮮だったので、大きな期待を持って出かけた。
 
 そして、期待以上の彼女の魅力に大満足。主役を与えるとこんなに生き生きとして演技力があって、舞台を引っ張るだけの魅力があるとは。そして話題の技術力。3幕PDDでのバランスには息を飲んだ。間違いなくエトワールになる人材、と言われているだけある。
 
 全体としては残念な舞台だった。なぜか。技術的な差が大きかったが、このことは実はあまり問題ではない。問題は、主役二人に遠慮していて、群舞がまるで傍観者のようだったことである。これは、日本のバレエ教育に演技という面が欠けているからだろうし、オペラ座から来た輝かしい主役を目の前に群舞も思わず見とれてしまったからかもしれない。なんというか、舞台が生きていないというか、主役と群舞とでまったく別の世界を見ているようだった。エトワールだろうが遠慮せずにもっと絡んでいかなくては。それを必死で引っ張ろうといつも以上にパケットが奮闘していたのが印象的。
 
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by chihiroparis | 2012-09-22 12:59 | ballet+danse | Comments(0)

2011-2012シーズン総括2

とりあえず箇条書きしてのちほど少しずつ加筆します。

・La Bayadère
・Dances at a Gathering/Appartement
・Sylvie Guillem gala(theatre des Champs-Elysees)
・L'histoire de Manon

日本国内
・Etoileガラ



 
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by chihiroparis | 2012-09-15 18:21 | ballet+danse | Comments(0)

2011-2012シーズン総括1

総括といっても。すぐに書かなかったので忘れつつあるけれど。

・デフィレ/ラトマンスキーのPsyché/リファールのPhèdreではじまる。
 デフィレでエルベ・モローが舞台に復帰。完全なダンスノーブルでありつつ情熱的なその表現力、と他に類を見ない大エトワールに育つ(いや、もう既にそうであった)人材が怪我で引退まで決意していたのが、復帰である。少しずつでいい、大作に挑まなくてもいい、とにかく続けてほしい。そんな想いで彼が歩く姿を見た。
 ラトマンスキーのPsychéは衣装が可愛かったことくらい。あまりこの手の振付けが私好きではないのである。ドロテ・ジルベールとオレリー・デュポンの両方で見たが、随分違った作品に見えた。普段あまり好みではないがドロテが似合っていたような。とにかく主役を喰うほど輝いていたのがAmandine Albisson. 学校公演の頃から目立っていたが、伸び伸びとした表現力とそれを支えるテクニック、カリスマ性が素晴らしい。昨シーズンのLe loup でもその存在感を観客にアピールしたところ。今後グングン行きそうなダンサー。
 Phédreはアニエス・ルテスチュとマリ=アニエス・ジローで見たが、断然ジローだろう。圧倒的存在感で誰も寄せ付けない。従者?役のアリス・ルナヴァンという個性の強いダンサーと組んで出た化学反応が素晴らしい。アニエスの時にはサブリナ・マレムが抜擢されて活躍していたのも個人的には
嬉しかったが。

・ジャン=ギヨーム・バールの新作La sourceが見られなかったのは残念。彼が少しずつ振付けを始めていた頃から見ているが、クラシック派でありつつ今までにオペラ座でその手の好みを持つ振付家たち(言っちゃ悪いが・・・ラコットとかバールとか・・・)とは一線を画す知的でセンスに溢れた振付が大好き。

・年末、サンドリヨン/オネーギン。
 ジョシュアがエトワール任命がかかっていたものの、調子が悪く降板したことでルフェーブル氏の怒りを買い(ハードスケジュールにしたのはディレクションなのに!)任命が引き延ばしになったという公演。怪我からの復帰後にジョシュアで見たけれど、このことがあって落ち込んでいたのかプレッシャーがあったのか、彼らしくない、まったく輝きのない王子だった。残念。フロリアンも王子を踊ったそうだが、彼はオレリーの相手役として急遽(ルグリの代役だったかな?)まだスジェの時に大抜擢されて主役をやったことを思い出す。本当に青ざめながら踊っている王子だったけれど、あまり表現力のいらないこの役ではただただその白い肌と王子然としたスタイルが吉と出ていた。ただし、オレリーはサポートいらないわよ、とばかりに一人で踊っている印象だったけれど。
 さて話はそれたが、そんなわけであまりいい公演とは言えなかった。
 変わってオネーギン。オネーギン!!!!
 記念すべきカール・パケットを私が(ついに)このような主役で評価したいと心から思った公演である。何度もしつこくここで書いているが、彼は金髪・青い目という王子な姿でありながら、ダンスノーブルではない(と私は思う)。それは、彼の踊りの持つ個性がダンスノーブルではないのである。決してこれは批判ではなく、キャラクターでの彼の持つ才能を私は非常に高く評価している。ディレクションが彼の個性に似合っていない主役を振るのが悪いと言っているだけである。
 オネーギンに関しては、ダンスンーブルではなく陰のある主役ということもあったのだろう。あるいは、他のダンサーよりも年齢のこともあって円熟していたからかもしれない。3幕でタチアナに請い、狂う彼の演技には涙した。とりわけ、ディアゴナルで彼女を後ろから請い、アラベスクで落ちてくる彼女をひざまずいて受け止めるあの場面のオネーギンとしての狂ったように彼女を欲する感情表現のなんと素晴らしかったこと。今までのカール・パケットが見せた事のなかったまったく新たな一面だった。ドロテとはほとんど組んだことがないと思うが(少なくともあまり見た記憶はない)、彼女の、とりわけ身体自体が持つ強い個性との組み合わせが非常に幸と出たようだ。
 他にはイザベル・シアラヴォラとマチュー・ガニオ組。マチューの色気にあの衣装を着せたらそれだけで動かなくてもいいですという感じだが、この二人が素晴らしかったのは鏡のPDDだろう。タチアナの妄想のの中のオネーギンを、マチューは存分に表現し、その色気にはクラクラするほどだった。3幕の例のPDDにもその時は心つかまれたのだが、なんだかその後カールを見てかすんでしまった。それくらいカールのオネーギンが強烈だったのだ。
 作品についてだが、これはあまり構成がいいバレエだとは思えない。3幕のPDDはガラで盛んに踊られるほど人気だが、全体から見ると唐突だ、と個人的には思う。

長くなったので続きは2としようと思う。
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by chihiroparis | 2012-09-15 18:06 | ballet+danse | Comments(0)

Une vie de ballets ーラコットとテスマーのドキュメンタリーー

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Une Vie de Ballet(邦題「バレエに生きる パリ・オペラ座のふたり」)。

オペラ座の往年のプルミエ・ダンスールとエトワールで今も指導者としてオペラ座を支えるピエール・ラコットとギレーヌ・テスマー夫妻のドキュメンタリー。

この二人、二人揃ってああだこうだと言い合いながら稽古をつけている微笑ましい様子がワイズマンの撮ったオペラ座ドキュメンタリーなどでも出てきましたが、客席で見かけるときもいつも一緒です。二人の美意識の根源みたいなものが日々の映像に映るあれこれから見えてきます。本当に今時珍しいくらいクラシックな好みの人たちなんですね。

ラコットは、パキータなど古典を蘇らせた振付家という意味では評価したいのですが、この映画に出てくる昔の作品等は、ちょっとダサいジーン・ケリー風というか何とも言えないあか抜けない感じの振付けが好みではありません。
しかし近年マリー=アニエス・ジローとマチュー・ガニオに振付けた「La veuve joyeuse」などは、同じテイストなのに何ともスタイリッシュですから、踊り手の力ってすごいな、なんてあらためて思ったりもしました。「三銃士」然り、です。(これら後半の現代の映像は未公開のものも多く必見です。)

映画では70年代〜現在までの数々の資料価値のある映像が楽しめますが、なんといっても1972年のギレーヌ・テスマーとミカエル・ドナールによる「ラ・シルフィード」は特筆すべきものでしょう。あまりに美しい。美しい、美しい!気品といい、美しさといい、テスマー&ドナールは本当に歴史的名パートナーシップです。

それにしてもこれだけの日常生活の映像、夫婦で撮り合ってたのでしょうか。謎です。
あれだけギレーヌ・テスマーが美しければ、まぁ夫としては日々8ミリビデオを回すってもんでしょうか(笑)いやぁ、ほんとに美しいです、ギレーヌ。

ワイズマンの作品と違って、オペラ座ファン以外にはあまりおすすめできませんがなかなか楽しめました。
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by chihiroparis | 2012-09-15 12:48 | ballet+danse | Comments(0)