カテゴリ:cinema( 24 )

「人生タクシー」Taxi Teferan (Jafar Panahi)

ジャファル・パナヒ監督作品。
4/15から日本公開だという記事をみて、あ、これフランスで2015年に見たなぁ、記録しておこう、と。フランス題は「Taxi Teheran」。
パナヒ監督の作品は「Sang et Or」をARTEで見たのがきっかけで知った。
社会問題を市井の人々の視線から鋭く描く作品ゆえイラン当局に国内での撮影を禁止された監督は、今作で自らがタクシー運転手に扮してテヘラン市内を走り、車内に設置したカメラで乗ってきた人々との会話を撮影するという斬新な手法を取った。イラン情勢を痛烈に批判するようなエピソードばかり。俳優なのか本当に偶然乗ってきた人なのかわからないけれどもとにかく面白くて笑いすぎて涙が止まらず。奇才だ。どこまでがフィクションなのかさっぱりわからなかったのだが、どうも今回日本での上映にあたり出ている記事によれば一部のみ脚本付きだったそうだ。
ベルリン国際映画祭金獅子賞受賞作。

会話から見えるイラン社会。そういえば台所から見えるイラン社会イラン式料理本 」)も面白かったなぁ。制約がある中で鋭く社会が描かれる。



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by chihiroparis | 2017-04-07 08:32 | cinema | Comments(0)

「ステーキ・レボリューション」

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最近見た映画の中でもっとも面白かったと声を大にして言いたい映画。
煮込み料理が中心だったフランスでは赤身肉がメジャーなのだが、焼くと固くなるそれを「遅れている」と考えたフランス人監督が、世界一のお肉を求めて、いや、「世界一のお肉」の定義を求めて、世界中を旅する。
アメリカ、アルゼンチン、イギリス、日本、スペイン、イタリア・・・
3ヶ月で育つ肉牛から、なんと15年ものの肉牛まで。
サシか赤身の味わいか。
どんな環境で育てるか。オリーブ作り農園との自給自足・自己完結型エコロジー牧場があれば、牛の味は種ではなく性格だ、といい、穏やかな性格の牛を見抜いて選んでくる目利きのスペイン名牧場主など。
どこも行って一度はそのお肉を味わってみたくなる欲求にかられる魅力に溢れている。
中でもコルシカのレストラン、うーん行ってみたい。あ、シュラスコも食べたいな。

DVD出たら買うレベル。間違いなく永久保存版!
ちなみに日本版の宣伝はちょっと軽めでこのドキュメンタリーの本当の面白さが十分には伝わってないような気がするのがちょっと残念。




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by chihiroparis | 2016-01-23 21:08 | cinema | Comments(0)

Les héritiers

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Les heritiers(遺産相続者たち):言わずと知れたPierre Bourdieu & Jean=Claude Passeronによる有名な研究であるLes heritiers(遺産相続者たち)と同じタイトルの映画?これは何か言いたげ、とバスからOdeonの映画館前の広告を見かけて翌日映画館に飛び込む。
移民出身者の多い”荒れた”郊外(banlieu)のリセの生徒たちが、教師の呼びかけで歴史コンクールに出ることになり、そのテーマであるナチスによるユダヤ人迫害の歴史について議論をしまとめていく中で、このテーマを通し自らの出自や自らを取り巻く社会、人種、差別、etc...についても考えて行くというもの。
Entre les murs(パリ20区僕たちの教室)、La cour de Babel、と最近「郊外」学校を扱った映画・ドキュメンタリーが続々と出てきていますね。

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by chihiroparis | 2014-12-22 16:02 | cinema | Comments(0)

Iranian Cookbook イラン式料理本 ー台所から見える社会

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待ちに待った公開。ワクワクして出かけた。

カメラはひたすらいくつもの家族の台所を映す。
台所に立つのは・・・一人あるいは複数の女性たちである。

野菜の泥落としから始め、一から作る人。
缶詰を使う人。

ラマダン中の晩餐のために朝10時からずっと台所に立って一日かけて準備をする年配の女性たち。
出来合いの缶詰などを使う若い女性。
夫の好みに合わせて味付けをする女性。
家事ばかりだとつまらないので学校も行ってるの、という双子を抱えた若い女性。
若い時に姑との苦労があったと語る年配の女性。

カメラを回す彼は尋ねる。
こんなに準備に時間がかかるし大変そう。外食はしないのか?
外食は何が入っているかわからない、どこの油で揚げてあるかわからないような野菜が入っていたりするもの、と答える年配の女性。

22時に夫の友人が大勢押し掛けてきて接待しろと?と文句をいいつつも、でも私が受け入れた人生ですから、責任があります、と言う若い女性。

時代の流れの中での女性の地位や役割が変わって行く中、ある人は抗い、しかし受け入れる。
こんな大変なこと、と文句を言いながらも、外食を受け入れられない人。

カメラは男性にもカメラを向ける。
この食事を作るのに何時間かかったと思う?

ある男性は妻の大変さを知っているし、またある男性は、このくらいは1時間ではないか、という。5時間かかったと聞いて、それは手際が悪いからだ、という。
ある男性は、妻の仕事の大変さが自分が外でしている仕事よりも大変だと言う。彼は食事の片付けを自ら行う。妻と娘には決してさせないそうだ。彼の中で男女の役割は固定されており、そういう意味で社会に抗わずに生きているが、女性たちへの感謝を忘れない。

・・・台所というところから、社会が見える。
誰が台所に立つか。
何を台所で作るか。

そこには世代、文化、階層、様々なイラン社会を投影するものがあった。実に面白い作品、おすすめ!

(ここからネタバレ)

最後のナレーションで、作品中の女性の何人かは離婚をしたと流れる。
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by chihiroparis | 2013-02-06 23:11 | cinema | Comments(0)

Poulet aux prunes チキンとプラム

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「ペルセポリス」で大人気、フランスでは非常に有名な漫画家、イラン出身のマルジャン・サトラピの作品が自身の作品を始めて実写で映画化した作品(「ペルセポリス」も自身で映画化したが、こちらはアニメーション)。

あるヴァイオリン弾きがヴァイオリンを壊されたことで、死を決意する。死ぬまでの8日間、彼は自身の人生を振り返る。暗い設定だけれど、ユーモアに溢れていて、そして登場人物の誰もが愛情もって描かれている。

初恋の人の描き方はメルヘンながら、最後は泣かせる。
死を覚悟した人ならではの生へのこだわりかな。
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by chihiroparis | 2013-02-05 22:31 | cinema | Comments(0)

Le noir (te) vous va si bien 黒はあなたによく似合う

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フランスに戻ると、日本には興行的な理由であまり入って来なさそうなものを見ることにしている。大抵は社会問題を扱った暗いもの。

そういう映画何かないかな、とアンテナを張りながら歩いていたところ、Censier近くのシネマに黒ずくめ(一目でイスラムの女性とわかるもの)のポスターが貼り出されていたのがこれ。すぐに友人を誘って、Vavin近く、硬派な映画をよく上映しているテアトルも併設しているシネマへ向かった。

話は暗い。ひたすらに暗い。

以下はネタバレ。

場所はフランス。北アフリカ系移民一家。厳格なイスラムの規律に基づいて息子と娘を育てた夫婦。
シューズメーカーで働く娘は、家を出る時には敬虔なイスラム教徒らしい黒ずくめのスカーフ姿で出かける。しかし、彼女は毎日とあるカフェ・バーに寄り、そこのトイレで”普通の”格好に着替えて出社しているのであった。

このカフェ・バーの青年と彼女は恋に落ちる。ある日隣人は彼女をここで目撃し、迷いながらも彼女の父親に伝える。父はこっそりとのぞきに来る。彼女は青年とカウンターに立ち、赤いタンクトップ姿で接客していた。

悩んだ父は息子に会いに行き、心情を吐露する。
「私は間違っていたのだろうか。私は、私が受けて来たような教育を君たちに施したつもりだ。」

息子(彼女の兄)は妹の首を絞めて殺害する。
嫌な予感がした父親がかけつけた時には手遅れだった。悲嘆にくれる父。息子の将来を思い、その場を去れと言う。自分が罪をかぶり、投獄されるのであった。

・・・・・・・・・・・

見終わったあと何とも言えず胸が苦しくなった。
あのような家庭に育ち、あのような格好を毎日させられていた女性が、シューズメーカー(の企画室のようなシャレたところ)に勤める(ことができる)?と一緒に見ていた友人が指摘する。

どうだろう。

細かい設定において多少の矛盾や、さすがに誇張しているのでは、と思える部分もあるが、移民家庭における親と子の間の文化摩擦、葛藤というのが大きな問題であることは確かであり、そのことを誇張しながらも描いている作品だったと思う。

・・・・多分日本では公開されないでしょう・・・興行的に無理だと判断されて。
中東問題、移民問題、etc...フランスでは実に様々な問題を扱った映画が見られるのがいい。
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by chihiroparis | 2013-02-05 20:24 | cinema | Comments(0)

Intouchables 最強のふたり

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なんだか随分話題のフランス映画なので行ってみた。
フランス映画が話題になるって久しぶりではないか(嬉)

失業中の黒人青年が首から下が不随の金持ち男性に介護士として雇われる。当初はとまどいながらも交流を深め合って行く様子を描いたストーリー。

実話を元にしているということなのでこんなことを言うのはなんなんだろうが、黒人青年と移民である彼の家族・地元のバンリュー(郊外)問題と、金持ち雇用主の家族・文化の対比をしながら、結果的にはハートウォーミングな交流を描くあたりがありきたりな感じもしないでもない。しかし、細部がいちいち面白い。フランスらしいちょっとキワドいギャグの数々、狙ってた女の子が実はレズ、などなど、ニヤリとする笑いに満ちていて、とても幸せな気分になる。
フランスらしい映画なのに(なのにって言うのもなんだけど・笑)久々にヒットしただけはある映画。オススメ。
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by chihiroparis | 2012-11-05 01:14 | cinema | Comments(0)

「Crazy Horse」 by フレデリック・ワイズマン

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昨年の東京国際映画祭で見ようと思ったらその日はチケット売り切れ、お待ちかねの映画館公開。

クレイジー・ホースといえば、ムーラン・ルージュ、リドといったパリの有名キャバレーの中でもオシャレ感はダントツなイメージで売っているところ。そのキャバレーを、最近では「La danse(邦題:パリ・オペラ座のすべて)」を手がけたドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマンが手がけたとなれば当然期待も高まるというもの。また、以前ARTEでもクレイジー・ホースの特集がされていたのだが、その舞台裏が実に面白かったので。

ワイズマンのこの映画は、ショーの刷新を依頼されたコンテンポラリー・ダンスでは人気のフィリップ・ドゥクフレがクリエーションをしていく様子を追っている。彼がこだわるところはこだわりながらも柔軟に人々の意見に耳を傾けてクリエーションをしていく様子、実際に舞台でダンサーに振り移しをする様子など、ドゥクフレファンにはたまらない映像だろう。

オーディションの様子も出ているが、最近はあまりフランス人はいない様子。東欧や南米の子が多いようで、ヨーロッパにおける労働市場と移民事情がここにも。

ちなみに、これは上述のARTEのドキュメンタリーで耳にしたのだが、「(シルエットをそろえるために)鼻だけはいじらせるのよ」とディレクター。胸は(豊胸などで)直してきなさいとは言わないそうだ。

セクシーに見える舞台も裏では必死。真剣勝負なところは他の舞踊の世界となんら変わらない。終盤に出て来たロープを使った演技には、その美しさと、鍛え抜かれた身体からにじみ出る努力の跡に思わずジーンとして涙がこぼれた。神々しい。ちなみにそのダンサー、ドミニク・カルフーニ似のスーパー・クール・ビューティーでした。

ダンスファンなら一度は見てみたい舞台。実は私まだ見たことがなく。今度のパリでは是非行こう。
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by chihiroparis | 2012-11-04 21:10 | cinema | Comments(0)

Jean Dujardin

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「The artist」がオスカーをとってすっかりJean Dujardinが有名になってしまいましたが、Dujardinといえばやっぱり「Un gars une fille」のLoulou、そしてアホすぎて強烈な「Brice de Nice」!

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France2でニュースの前のミニ番組として超のつく人気番組だったのがUn gars une fille。
LoulouとChouchouと呼び合うカップルのコント。
デフォルメされてはいるけれど、フランスのカップルの日常がわかる作品だと思います。
こんなことで喧嘩したりするんだ~!と興味深く見られるはず。
日本語吹き替えが出たら面白いのに!
現実にこのLoulouとChouchou俳優は結婚したというオマケのいい話も。

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Brice de Niceは、その名の通り、ニースのブリス君というDujardinが一人で行うコント。
いやもうUn gars une filleのさらに上を行くアホらしさ全開です。いそう、いそう!!!こういう奴!!!っていうね。よくまぁこんなにウザったいキャラクターを演じ切るもんです。さすが!


・・・えっとつまりDujardinは俳優として売れっ子になるまで結構こんな感じでコントで大人気だったのですよ。
近年映画に主役級で出て活躍が目立つようになってからの作品で私が好きなのは「Mariages!」かな。
フランスらしい、男女の悲喜こもごもを描いた作品。
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by chihiroparis | 2012-04-14 18:36 | cinema | Comments(0)

Entre les murs(パリ20区、僕たちの学校)他 学校映画いろいろ

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2008年カンヌ映画祭パルム・ドール受賞作。邦題「パリ20区、僕たちの学校」。

パリといってもはずれ、移民の多い地域20区にある中学校という設定のドキュメンタリー風なお話。
François Bégaudeau(脚本も担当)演じる国語教フランソワとクラスの生徒たちとの授業内・外での対話をじっくりと描いた作品である。現在のフランスの学校(のみならず社会そのもの)が抱える多くの問題がさまざまな肌の色の生徒役の子供たちの演技(まるでドキュメンタリーそのものという出来!)によって描かれる。
自分たちは何者なのか。フランス人なのか?自分の持つ文化とは?etc...
フランソワが真摯に向き合う姿が胸を打つ。

とりわけ保護者面談の場面は笑いを取りつつも象徴的だ。フランス語のできない母親の通訳をしながら面談を受ける生徒。パリのどこの学校でも現在見られる光景だろう。

監督(Laurent Cantet)によれば、今まで「学校」という場を題材にした映画は多かったが、本気でその中で
起こっていることを描いた作品は少なかった、と。確かにそうかもしれない。

非常に淡々としたつくりだ。ドラマティックであることを狙うよりも、とにかく対話の連続である。教師と生徒、生徒同士、教師同士。これが実に、実に面白いのだ。

しかしこれ、一体字幕で見てほんとに伝わるんだろうか・・・ニュアンスとか・・・
さすがパルム・ドール受賞作、本当に近年見た映画でも出色の出来と言える面白い作品だったのだけど・・・会話の中にある文化的背景など字幕では伝わってないだろう。

ところで近年同じく秀逸だった学校映画と言えばEtre et avoir (邦題:「ぼくの好きな先生」2002年、監督:Nicolas Philibaert)か。
オーベルニュ地方にある、生徒は13人という田舎の学校を舞台にしたドキュメンタリー映画である。
こちらは地方も地方だけに上の作品ほど社会派ではなく、もう少し心温まる先生と生徒の交流もの、か。
(生徒の家庭の様子などはそれでも映されている。)
先生の先生としての生き方や生活が美しい田舎の風景と共に静かに描かれていたのが印象的だった。

セザール賞をはじめ数々の映画祭で受賞をしたことから先生が映画プロダクション側とギャラのことでもめたという後味の悪いエピソードが新聞をにぎわしたが、そんなことは気にせず見ればよい素敵な作品(笑)。
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by chihiroparis | 2011-08-08 00:02 | cinema | Comments(2)